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2008年11月20日

●「初めての説教」

友達が、素敵な絵葉書をくれたから、口を少しずつ開くことにします。

この間までBunkamuraでやっていたジョン・エヴァレット・ミレイさんの、
「初めての説教」という絵葉書がそれです。神妙な顔の少女は愛らしいけど、
彼女が掛けている椅子の構造がわからないな、と思った自分にがっかりました。
昔から、ルノワールが描く少女の手がぼやけていて、
それこそゴールデンレトリバーの手みたいにしか見えなくて不満でした。
そんなことを気にしている自分に、がっかりということです。

世の中の事柄は、正しいことと、悪いことと
双方の事情もわかるからどうしようもできないこと、の3種類で、
どうしようもできないことに勇気を出して切り込んでいって白黒をつけるのが
大人の仕事だと信じてました。黒を見つけたら白くするために努力するのが
この世界を美しくする方法だと信じてました。

だけど、どうして白黒をつけなくてはいけないのか、肝心な点を忘れてました。
私の次の人に美しいものを受け渡していくために、私は働きたかったのに
早押しクイズみたいに白黒を判別していくことに集中してしまっていました。
判別するだけじゃ駄目なんだよ、何のために判別するのかを忘れてはいけないよ。
私はただ、この世界を、美しくしたいだけなんだ。

うみ_R.jpg

一昨日は風が強い日で、目に映るすべてが揺れてなびいていました。
目に見えないものが力を持ってやわらかく移動していくその姿は、
見えないけれども、あるんだよ、私に勇気をくれました。

ちょっと心の調子を崩しまして、この間仕事を辞めました。
仕事をやめたら自分が、人間でないような恥ずかしさで一杯になって、
毎日が辛くなりました。この状態がいつまで続くかわからないけれど、
たまに吹く風や朝カーテンを開けたときの黄金色の光や、
そばで微笑んでくれる大切な人のために、またいつか働きたいです。

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