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2007年12月09日

●盆暮れ正月、結婚式

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天気のいい12月の日曜日、従兄弟が結婚しました。おめでとう。

中学三年生の夏休み、大好きだった現国の先生の宿題が、
「日本人はなぜ花火が好きなのか」についてのレポート作成だった。
私は論旨としては「消えてなくなる儚いものを尊ぶ」って優等生的に書いたんだけど、
先生から二重丸を貰ったのは「手持ち花火は親戚とするべし」ってところだった。
根拠ないよね、何にも根拠ないけど、でもどう?みんなお盆に親戚と花火しなかった?

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私は一人っ子だから、私の子供には母方の従兄弟がいないんだなって想像する。
加えて、結婚相手が一人っ子なら従兄弟を持たずに育つんだな。
家族と過ごす日常は、超日常だから特に意識することもなく
特別な思い出も今は振り返ることが出来ないくらいなじんでいるけれど
親戚がやってくる日は、それは確かにイベントデーだった。

例えば正月、おじちゃんたちは酔っ払って昔の話を蒸し返してて
おばちゃんたちは取り皿や醤油を片手に台所と今をうろうろしている。
机の上には子供達がさっき貰ったお年玉が散らばっていて、
一番大きな従兄弟だけポチ袋のサイズが大きいから凄く気になる。
庭で犬がワンと吼える。ほらあんたにもお年玉よ、と言って
綺麗に掃かれた飛び石に、ぽとりと落とされる海老の頭。笑い声。

例えばお盆、入れ替わり立ち代り仏壇にお線香を上げに来客がある。
おばあちゃんがいつもより生き生きとお茶を出したりしている。お寿司をとる。
食卓の会話が途切れると、大人が口々にスイカが冷えている、と言い始める。
特に食べたくないけど応えるように子供達で冷蔵庫に向かう。
いびつに切り分けたほうが大人数でのスイカは美味しい。
一番小さい切れをとって口をつけると薄く甘い阿呆みたいな味がするの。
テレビでサザエさんが終わる、じゃんけんポン!来週もまた見てくださいネ!
小さい従兄弟とおじさんが花火を始めた。火薬の匂いはごちそうさまの合図。
縁側に這い出して薄暗い中、平たい袋からイケてそうな1本を探して点火する。

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盆暮れ正月以外には従兄弟には会わない。
年2回しか会わなくても、いつも同じようにだらだらとした話が始まる。
特別会いたいわけでもなく、イベントのために集まる人たち。
気張らない、生ぬるいカルピスみたいな再会と別れ。
きっと一生付き合うことになる、親戚。

手持ち花火は親戚とするくらいが丁度いい。
すぐに消えてなくなるし、打ち上げ花火ほど豪華でも貴重でもないし。
真剣な相談とかしたことが無い、いつもダイエットの話とかテレビの話とか。
えへらえへらと笑って、じゃーねーって分かれる。また半年後に会うことを知ってる。
日常のいとおしい部分だけ背負っている人たち、親戚。

昨日まで他人だった人が、結婚式を経て親戚になる。
なおちゃん結婚おめでとう。私の親戚を増やしてくれてありがとう。

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